古本祭りで買った「南北朝時代史」(田中義成)と「南北朝の動乱」(森茂暁)、読み終わりました。
「南北朝の動乱」のカラー口絵に、「太平記絵巻」の1場面「笠置山から逃れる後醍醐天皇」の写真があったので、デフォルメしつつ描いてみました。(よくわからなかったところはてきとうに創作)
女性に変装しているようですが冠でバレバレ。
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「南北朝時代史」は、田中義成さんの講義の稿本を門下生らが整理して出版したものが底本になっています。
読みなれない文体だったので、たまに肯定文なのか否定文なのかわからないことがありました。あと、年号が和暦でしか書いてないので、時間経過がよくわからない。登場人物が多くて覚えきれない(これはこの本に限ったことではありませんが)。など、私には難しかったけれど、ざっくり流れがわかることを目標に、なんとか読み切りました。
この時代(鎌倉時代末~南北朝時代)についてのテレビ番組を見たときなどに、また開いてみて、ぼちぼち覚えていきたいと思います。
建武までの話では、大塔宮のことがたくさん書かれていて、嬉しくなって、らくがきしてしまいました。(#^.^#)
「大塔宮護良親王出陣図」という昔の絵が殿上眉で描かれているのでそれに倣ったのですが、この眉でキリッとした感じに描くのは難しいなぁ。
後醍醐天皇が隠岐に流されている間、大塔宮は挙兵を促す令旨を各方面に送ります。天皇があきらめずに隠岐を脱出したのも、大塔宮の活動あってのことだと思います。しかし、鎌倉幕府から離反して六波羅探題を攻め滅ぼした足利尊氏と対立してしまい・・・。
私が大塔宮を好きになったのは、北方謙三さんの「悪党の裔(すえ)」という小説を読んだからです。主人公は赤松円心(則村)。物語の展開上、大塔宮は魅力的である必要があるので、本当は描かれているような人だったわけではないのでしょうけど。
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「南北朝の動乱」は、和暦に西暦が併記されているし、巻末に略年表もあってわかりやすいのですが、この時代の基本的な流れは知っているのが前提の内容だったので、先に「南北朝時代史」を読んでおいて正解でした。
この本では、南北朝の動乱を「守旧派と革新派の抗争を主な要素として展開した全国的規模の争乱状況」ととらえていますが、私は鎌倉時代の政治や社会について知らないので、何が旧で何が新なのかがわかりませんでした。
戦乱が、断絶させられたり所領を失ったりした武士にとって起死回生のチャンスになるというのはわかるし、所領の支配をめぐって惣領家と庶子家の間に争いが起こると、それぞれが対立関係にある権力に接近する、というのもわかるのですが。
結果的に、南朝は、それぞれの事情による争いに、正当性・大義名分を与えただけだったのか?
「観応の擾乱」から「正平の一統」とその破綻までの解説はおもしろかった。
あと、戦いと音楽の話も。これは古代史と関連して、興味のあるところでした。